第1話 恒例の評価

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それでも怯えるものはなく、目立った変化と言えば、不安定な形状となったプリンが横倒しになっただけである。 そして、姉弟の発表には誰一人驚かない。 評価平均が最低点である事は周知済みなので、口汚い罵倒も予め予想が出来た。 対応策についても、今やすっかりお馴染みとなった、例の手法が取られようとしていた。 「あい。じゃあ、編集モードでやりましょかねぇ評判悪いもんね仕方ないね。反論はある?ないねじゃあ移行しまーす」 「あの、リーディスさん! まずは私たちの報告を聞いて、方針を固めてから、モードチェンジしませんか?」 「チッ。めんどくせぇな」 当初は物議を醸した『編集モード化』であるが、彼らの感覚はスッカリ麻痺していた。 失敗の許されない一発勝負が、怒濤のアドリブ群が彼らを高揚させ、逞しくもした。 生み出された数々の失敗は宴会のネタに、輝かしい名演技は語り草に……早い話、誰もが自由演技を楽しんでいるのである。 むしろ製品モードの窮屈さが苦痛であり、さっさと編集モードで暴れまわりたいというのが本音であった。 「では、参ります。本作の問題点について……」 デルニーアが口火を切る。 これより改善すべき点がいくつか報告されるのだが、一筋縄でいかない議題に、彼らは頭を悩ませる事となる。
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