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「えっ、なに!?」
監視台の端に、もくもくと煙が立ち上る。その中心では鳥の翼みたいなものが見慣れない機械が壊れていて、更に火の粉まで飛んでいるように見える。
なんだろう、これ……。
「ぅぅ、」
ん?
「ぅ…………、」
「あれ、えっ?」
後ろを振り向いても、誰の姿も見えない。
え、前から!?
「ぅ、ぅぅ……っ」
「えっ、ちょっと大丈夫ですか!? だ、誰か、えっと、ソレイユさん! ソレイユさーん!!!」
大きな声を上げて、休憩に入ってしまったソレイユさんを呼ぶ。
「ちょっとなに今の音!? ……ん、えっ、何それ!?」
ティーカップを片手にゆっくり出てきたソレイユさんは、監視台の端に落ちてきた機械を見て、驚いたみたいだった。カップを落としてまた叫んでから、「と、とにかく、火! 火を消さないと……!」と休憩所の消火器を取りに行こうとする彼女に、「人いるんです!」と言う。
「……え、何それ!? えっと、うん、じゃあ危ないからシエルちゃんは早く消火器と人を! その人は私が助けてみるから――――、ぅわっ!?」
ボンっ!
なにか低い音がして、壊れた機械から黒い煙が出始める。
「――――っ!!!」
「シエルちゃん!?」
「たぶん間に合わないです!」
近いのはわたしだから、きっと助けられる……! 今ならまだ間に合うっ!
「どこにいるの!? 返事して!」
壊れてただの鉄屑になった機械の破片がすごく邪魔で投げ出してしまいたくなるけど、もし助けられるんだったら、人を助けたい!
助けられる人を助けられないのは、嫌だった。
だって、それはまるで――――
「お、も……っ!」
少し大きな瓦礫をどかすと、その下にはぐったりと目をつぶった男の子がいた。無意識なのか、それとも少しは意識が残っているのか、手をゆらゆらと揺らしているその子の手を掴んで、一気に引き上げる!
痩せ型なこともあってか、簡単に引っ張り上げられて、勢い余ってそのまま後ろに倒れ込む。
ボン…………ッ
機械が音を立てて崩れたのは、その直後だった。
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