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Episode.6 スフェン
背中にザラザラとした何かを感じながら目を開けると真っ暗だった。手をついて起き上がると、下には小石が敷いてあるような感触がある。すぐ隣に暁の気配を見つけて、闇にぼんやりと浮かぶ体を揺さぶった。
「暁、大丈夫?」
「ああ。それより、ここどこだ?」
むくりと起き上がった暁は、すぐにペンライトを取り出してあたりを照らした。ライトを水平にしても、先はまったく見えないほど広い。諦めて下を照らした暁は、それを見るなり飛び上がった。
「うわっ、虫か!?」
「違う、これ、たぶん植物の種だよ!」
ポケットから自分のペンライトを取り出し這いつくばってそれを照らすと、そこにぎっしり敷き詰められていたのは、小さいものは指先に乗るほどの、そして大きなものは掌ほどもある様々な植物の種子だった。
「きっとここ、種を保管しておく場所なんだよ」
「何だ、種かよ。それにしたって、何でこんな穴倉みたいなとこに……」
ペンライトの細い光を頼りにしばらく歩いても、種の床は続いていた。試しにざくざくと砂を掘るように底を探したけれど、両腕が肘まで沈んでも全然底に辿りつく様子がないほど深い。
「移住先の星に蒔くつもりだったってことか?」
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