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半分に切ったピーマンにタネを詰めていく。それをフライパンで焼き色を付けていけばいくほど、空腹感が煽られ、仄かなピーマンの香りにさえも食欲をそそられる。
「皿くれ。」
皿に盛られた二つの肉詰め。合間に作っていただろうサラダも添えられ、食卓が一気に鮮やかになった。
「いただきます。」
おいしそうに肉詰めを口いっぱいに頬張る子供達に気押される。美味しい美味しいと口々に言う弟達を愛おしそうに微笑みながら見守る彼は本当に、農家で忙しい両親の代わりをしているのだと感じる。
いつもなら肉の部分とピーマンの部分を分裂させ、肉の部分を食すのだが、今日は目の前に凶悪な監視がついている。それに、子供の前で残すのは恥ずかしい。
「な、何見てんですか!」
三兄弟にニヤニヤとされながら食べるところを見られると流石に食べにくい。そして恐らく俺がピーマンが食べられない事を知っているであろう弟達の顔よ。そんな応援するような目で見ないでくれ、おじさん恥ずかしいから!
肉とピーマン、均等に口の中に入れた。肉汁とソースの味付け、そしてやっぱり、ピーマンの味が広がる。それでも焼いたせいか、想像していたほどの苦みがなく、一つの料理としてとてもおいしく感じる。
「うめぇだろ。」
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