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山盛りになったピーマンに箸を通すと、衣と箸が擦れあい、カリカリと良い音が鳴る。やはり日本人なので、ここは醤油をチョイス。口に含む分に少しだけつけて、かぶりついた。
「……!」
ザクザクとした衣の中でもまだ、ピーマンの固さを少し保ちつつ、ピーマンのうま味というか甘味というか、閉じ込められていたピーマンの味がしっかりと残ってる。
ちらりと視線を向けるとやはり、仏頂面でありながらもどこか楽しそうにこちらの様子を見ている。まぁ、なんやかんやいって一昨日まで砕いたものすらろくに食せなかった野菜をここまで口に運べるようになったのはこの人のお陰だ。
それに、気が付いてしまった。このピーマン、やっぱり、俺の知ってるピーマンよりも甘い。気がする。外食で過去に、試しに天ぷらを一口食べたことがある。でも、こんなに美味しかった覚えがない。
ザクザクという音に視線を向けると、米田さんも天ぷらを口に運んでいた。塩を摘まみぱらぱらとかけ、たったそれだけで口に運んでいる。凄い。
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