ピーマンは苦い

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 気さくなご主人にほっとした。農業に関わっている人間は、なんとなく怖い印象があったから。ニコニコと笑みを浮かべ、肩に巻いたタオルで額を拭う姿に、なんとなく、亡くなった祖父を思い出した。  米農家であると聞いて、どれだけの労働が待っているのかと思えば作業自体は大したことは無かった。というのも、米作りにおいてもっとも重要なのは稲を植えたり環境や天候から稲を守る事であって、その作業は既に終わり、俺達が手伝ったのは稲の収穫と、それを精米機にかけ、袋詰めする作業だ。 「お昼は、二丁隣の畜産農家さんから頂いたお肉で焼き肉をしよう思ってます。」  米を最大限に引き立たせる食事として、焼き肉ほど素晴らしい食べ物は無いだろう。収穫作業でへとへとになった腹が鳴り、重機が並ぶ大きな倉庫の端に設置された特設テーブルに腰を下ろした。 「ほら、箸。」 「あ、ど、どうも。」  手渡された箸から、渡してきた人物に目をやる。誰?と、ここにいる俺の会社の人間は全員目を丸くしている。 「紹介しますね、息子の大地です。」  紹介された男は、俺と同じくらい…いや、少し年上か。年齢がわかりにくいのは泥にまみれた作業着に目深に帽子をかぶっているからだ。 「おい。」 「え、はい。」 「なに残してんだ。」 「は?」     
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