ピーマンは苦い

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さっきまで後ろに座っていた後輩が持って帰ったのと同じものだと思われるビニール袋に入った大量の何かを手に取り、俺に降りるよう顎で指示される。 渋々従い降りると、押し付けられるようにはち切れんばかりに膨らんだビニール袋を押し付けられた。 「何ですかこれ。」 「大体一週間で腐り始める。捨てやがったら呪ってやるからな。」 笑いをこらえているようにも、本気で呪いをかけて来そうにも見える微妙な、できれば二度と見たくない笑顔を投げかけられた。 そして見えた。緑の、ものが。 「ピ、ピーマンなんて事は…」 「そのまさかだ。俺が作った最高傑作。」 ああ、そりゃあ捨てようものなら速攻で呪われますね。だってなんたってご近所さんですからね、物理的に近過ぎるんだよ。 普段あまり料理をしないという話はさっきの食事の場でした筈だけれど、この人にはどうやら聞こえていなかったらしい。 それに、普段料理する人でもこの量のピーマンは確実に持て余す。細かく砕いたピーマンをぎっちり、半分に切ったピーマンに敷き詰めて、ピーマンを絞りまくって抽出したピーマン油(そんなものが存在しないのは知ってる)で焼いたピーマンのピーマン詰でもしない限りは完全消費は不可能だ。 「こいつを使う料理なんて星の数ほどあるだろ。」 「星の数ほどは無いかと…。」 「………。」     
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