ピーマンは苦い

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 手渡されたボウルに入っているのはハンバーグのタネ。ああ、なるほど。弟達はボウルの中身を見るや否や手洗い場へと直行し、キラキラとした目で、まるで泥団子を作るようにタネを練り始めた。  今更ながら、この状況はなんだ?突然の訪問者、占領される台所、自分の家だというのに手持無沙汰間の凄まじさに気を使っている現状。ここ、俺の家だよね? 「おい、あれどこだ?」 「あれ、とは?」 「昨日渡した袋。」  ああ、と、冷蔵庫を開ける。一人暮らし用の冷蔵庫の半分を占める緑の物体は小分けに袋に入れ直し、棚を埋め尽くしている。 「使うんですか?」 「ブハッ!」  一体どれだけ面白い顔をしていたんだろうか。想像もできない所で、そして想像もできないくらいの顔で、笑ってる。 「一度くらい食べたことあんだろ?肉詰めだよ。」  昔よく、母親が作って弁当に入れてくれたっけな。ピーマン嫌いを理解した上での母からの確信ある嫌がらせだったらしく、それが一つのトラウマになっている事は言うまでもない。眉間に皺を寄せ、どうやればピーマンを食せずに済むかと考えを巡らせているところに丁度、弟達がやってきた。   こね終わったタネは粘り気を含み、既に美味しそうな匂いを漂わせている。満足げな兄弟に思わず頬が緩んだ。このくらいの年代からピーマンが食べられるなんて、少し羨ましい気がしてこないでもない。     
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