【忘れ物】

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* 少しして、来客がありました。 「いらっしゃいませ」 「こんにちは、よろしくお願いします」 小さなお子さんをふたり連れた、これまた奥様でした。 お子さんは幼稚園の年長さんくらいの女の子と、未就園と思える3歳くらいの男の子でした。 「このドレスから、この子用のドレスを作っていただきたくて」 奥様はデパートの紙袋から純白のドレスをお出しになりました。 ウェディングドレスです。 「今度姉が結婚する事になって、この子にフラワーガールを頼んでくれたんです。このドレスもこのまま取っておいてもと思ったので」 「素敵なお話です」 フラワーガールとは花嫁が挙式の際、バージンロードで花嫁の前を歩き花を撒くのです、その行為はお清めの意味があるそうです。 小さなお子さんのドレス姿はまた可愛いものです、これは気合を入れてお仕事をしたいです。 まずはデザインを考えます。 「どんなのがいいかな?」 私はご本人に聞いてみました。 「うーんとね、うーんとね」 なかなか返事が返ってきません。 お母様も、お母様なりにいろいろアイデアがあるようですが、娘の晴れ舞台に決めかねているようです。 「元のデザインを基に、小さくするのも手だと思いますよ?」     
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