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少しして、来客がありました。
「いらっしゃいませ」
「こんにちは、よろしくお願いします」
小さなお子さんをふたり連れた、これまた奥様でした。
お子さんは幼稚園の年長さんくらいの女の子と、未就園と思える3歳くらいの男の子でした。
「このドレスから、この子用のドレスを作っていただきたくて」
奥様はデパートの紙袋から純白のドレスをお出しになりました。
ウェディングドレスです。
「今度姉が結婚する事になって、この子にフラワーガールを頼んでくれたんです。このドレスもこのまま取っておいてもと思ったので」
「素敵なお話です」
フラワーガールとは花嫁が挙式の際、バージンロードで花嫁の前を歩き花を撒くのです、その行為はお清めの意味があるそうです。
小さなお子さんのドレス姿はまた可愛いものです、これは気合を入れてお仕事をしたいです。
まずはデザインを考えます。
「どんなのがいいかな?」
私はご本人に聞いてみました。
「うーんとね、うーんとね」
なかなか返事が返ってきません。
お母様も、お母様なりにいろいろアイデアがあるようですが、娘の晴れ舞台に決めかねているようです。
「元のデザインを基に、小さくするのも手だと思いますよ?」
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