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ケミカルレースでできた胸元は、スタンドカラーで手の甲までロングスリーブで覆われています。
ベアトップより下はタフタの美しさが際立つシンプルなデザインで、エンパイアラインのスカートが広がっています。
背中には大きなリボンがありますが、全体的に少しシンプルとも思えるドレスは、立派なマリアベールを引き立てるためにあるようです。3メートルにもなるオーガンジーのベールには刺繍やビーズがふんだんに施されています。
「うーん、でも少し子供らしさに欠けるような」
それもそうです。
「イメージしやすいよう、仮に着てみましょう」
「え?」
私は手元にあるキュプラの裏地を使って、お嬢さまの腰に巻いてみました。
やはり小さいお子さんは、スレンダーなものより、ふんわりしたスカートの方がお似合いだと思います。
待ち針で止めてみると、ご本人もご満悦でくるくる回ってくれました。
「おひめさまみたい」
とても嬉しそうです。
「丈はミモレくらいがいいみたいね。袖もやっぱりノースリーブの方が」
奥様も嬉しそうです。
「そうですね。式の雰囲気や、気候にもよりますが」
元のウェディングドレスのように、ハイネックになるように首に巻き付けてみました。
お嬢さまも判って来たようです。
「シンデレラみたいのがいいー」
初めてご意見が出ました。
「シンデレラ、ですか」
「パフスリーブだわ」
了解いたしました、私はお嬢さまの肩にふんわりと乗せます。
「わあ」
嬉しそうな声が聴こえました。
「布はたっぷりございますので、白いシンデレラのドレスをお作りしましょうか」
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