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DISTANCE
「DISTANCE」
HERE、THERE、
OVER THERE…
ここに男がいて、あそこに別の男がいる。
さらに離れてまた別の男が立っている。
数メーター間隔で、互いに決して近づくことなしに。
HERE、THERE、
OVER THERE…
ここに立ち木が一本あって、あそこに別の木があり、さらに離れてまた別の木が植えられている。数メーター間隔で、始めに決められたその距離のままに。
美術館前の広場に展示されたトルソーのように、
人と人、木と木とが、
互いに似た存在ででもあるかのように、
間隔を置いたままで佇んでいる、存在している。
美術館ならぬ図書館前の庭、
寂しげな陽の射す、
ある日の午後のこと…
近づかないのか、近づけないのか、
現代社会の、ニヒルで無機質な光景。
現出した一枚の、超現実派絵画。
ひょっとして人を分かつその間隔が、
立ち木のようなものならば、それはきっと、
動かず、変わらず、近いようで遠い、
シュールなる無限の間隔であるのかも知れない。
その距離に絶望して、
きょうも誰かが哭いている。
その距離の果てに、
きょうも誰かが死んで行く。
「DISTANCE」
それはいったいどこから生じ、
どうして近づくことなく、
我々の内に永劫にあり続けるのだろうか…?
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