プロローグ

1/1
前へ
/439ページ
次へ

プロローグ

司会者の華やかな美声が、会場内に響き渡る。 『さて、温かい祝福のもとで、こうして皆様と過ごして参りましたお二人の結婚ご披露宴も、そろそろお開きの時間となります。 お二人のためにお集まりくださった皆様に、本日一番の感謝の気持ちを込めまして、主役のお二人と、ご披露宴に携わらせていただいたスタッフ達によります、オールキャストフィナーレです!』 この台詞が合図となり、照明を一度落とす。 同時にガーデンに面したカーテンにスポットを当てる。 ゲストの視線が集まったところで、一気にカーテンオープン! 一面ガラス張りの大きな窓から、明るい光が会場内に広がって、ゲストから今日何度目かの大きな拍手が沸き起こる。 真ん中に、新郎新婦。 その横に両家ご両親、担当プランナーを始め、アテンダー、ヘアメイク、シェフ、サービススタッフ、音響、映像…… この結婚式に携わったほぼ全てのスタッフが、一列に並んでゲストの前にお目見えする。 通常、披露宴は花嫁の手紙と新郎の謝辞で、しっとりとした雰囲気で締めくくることが定番。 だけどウチの式場では、感謝の気持ちを直接ゲストに伝えながら賑やかにお見送りする、この方法をあえてオススメしている。 数えきれないほどの『おめでとう』に、精一杯の『ありがとう』でお返しする―― オールキャストフィナーレ。 私、この演出が特別好きなんだ。 笑顔と笑顔を結ぶ、結婚式。 ブライダルプランナーの仕事は、きっと私にとって天職だ。 お二人の幸せが、永遠に続きますように………… 一組一組に、思いを込めて。
/439ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10485人が本棚に入れています
本棚に追加