2月13日(土)、友引、晴天。

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「っ!うわ…………やだ」 慌てて顔を擦って、頬を手のひらで叩く。 あぁ、もう……冷水で顔をばしゃばしゃ洗ってしまいたいくらい! 『……なんつー顔してんだよ』 ……仰る通り。 だけど、小野寺さんも小野寺さんだよ……。 私が動揺するのわかってて、わざとからかってきて。 至近距離であんなことされたら、そりゃクラクラするに決まってる! 「……エッチはどっちだよ」 無意識にため息が漏れる。 「ぅえ!?な、なんすか!?」 段ボールを抱えた厨房の学生アルバイトくんが、背後に登ってきているのに気づかなくて、その妙にテンパった大声に我に返る。 「あ、ごめん……ただの独り言」 っ、いけない……仕事中、仕事中! 披露宴会場の確認! はぁ……小野寺さんには、ホント振り回されっぱなしだよ。 邪念を振り切るように思いっきり深呼吸して、私はフロアへと足を踏み入れた。
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