超人と呼ばれる男

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「ちょいちょい言葉に出てんだよ。このやろ」 おでこの真ん中を長い人差し指でビシッとつつかれる。想像以上の衝撃。 この人、絶対手加減してない! 「――ッひど!暴力!セクハラです!」 「なんとでも。つーかお前こそ上司の悪口呟いてただろーが」 「誉めてたんですよ」 「へぇー?そりゃどーも」 言い合いをしながらスタッフルームに入ると、後輩のプランナー達がこちらを見てクスクスと笑った。 「も~、小野寺マネージャーと原田さんって、仲良いんだか悪いんだかですよね」 「ちょっと!どこをどう見たら仲良く見えるの」 「年間成約数ナンバーワンの小野寺と、顧客満足度ナンバーワンの原田、ウチの式場のやり手名コンビだよなぁ」 他のお客様と打ち合わせを終えたばかりの料理長も、冷やかすように笑いながら話に入ってくる。 「料理長まで~!やめてくださいよ」 ウチの式場の良いところは、スタッフ間がとてもフレンドリーなところ。 部門も立場も年齢も違う者同士が、こうやって気軽に冗談言い合える環境って、なかなかないと思う。 少なくとも、私が前に働いていたホテルでは、上下関係が厳しくこんな気さくな雰囲気ではなかった。 それも、きっとの影響なんだろう。
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