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フンフンフ~ン♪~♪
本日の披露宴も全て終了。
新郎新婦の控え室からグラスやお皿を下げに、鼻唄を歌いながらバックヤードを通ると、
「あ、ここにも歌ってる奴がいた」
「さっきからバンケットの子達がみんな口ずさんでるよ」
「これ、今日頭から離れなそうッスよね」
声を掛けてきたのは、厨房のシェフ達。
「素敵でしたよね~、新郎のジャズバンド!
聞き惚れちゃいましたよ、私!」
先程まで行われていた、私が担当したお客様の披露宴。
新郎が学生時代から吹奏楽部でトランペットをやっていて、今も社会人ジャズオーケストラに所属して演奏してる方で。
披露宴の締め括りに、同期メンバーでこの日のために組んだジャズバンドで、華やかな演奏を繰り広げたのだ。
新婦がジブリ好きということもあって、ジブリ×ジャズアレンジメドレー!
トトロのあの曲、魔女の宅急便のあの曲や、私も大好きな、耳をすませばのあの曲など……
ゲストの方も知った曲ばかりで、とてもとても盛り上がった。
もちろん、バックヤードのスタッフにも、その素敵な音色は届いていたようで。
みんな耳に染み付いて、つい口ずさんでしまうらしい。
「男の人で楽器演奏出来るって、カッコいいですよね~」
バンケットの女の子が言うと、料理長が、「そういえば」と話に入ってきた。
「小野寺も、確か昔やってたろ。テナーサックス」
「えっ!?」
小野寺さんが、サックス?!
意外、というか……ある意味ハマりすぎというか……。
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