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If you -Tasuku side-
――ドアを閉める直前。
踵を返した原田の横顔が、隙間から覗いて。
先程の、部下命令発言のムカつくドヤ顔とは別人のような表情が、頭の片隅に勝手にインプットされた。
凛とした、だけど少しだけ泣きそうな、そんな顔。
一体なに考えてんだ、あいつは……。
「……原田さんて、なんか不思議な子だね」
背後から凌輔の声がして、はっとして振り返る。
「あー……そりゃもう、おかしなヤツだよ。見たろ、さっきの。なんだよ部下命令って」
「侑が女の子に振り回されてるところ、初めて見た」
「あ?誰が……」
クスクスと笑う凌輔。
こんな風にまた昔のように普通に会話する日がくるなんて、考えてもいなかった。
原田の意味不明な発言のおかげで、ある意味気まずさが軽減された俺達。
打ち合わせ用のローテーブル越しに、それぞれ腰を下ろした。
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