超人と呼ばれる男

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超人と呼ばれる男

「ご成約いただき、ありがとうございます。 次の打ち合わせからはチーフプランナーの原田が担当させていただきますね。 こちら、結婚式当日までの流れを簡単にまとめてありますので、お二人でご覧になりながらイメージを膨らませてみてください。」 ミーティングルームから出てきた一組のカップル。 と、 この低音ボイスがバイトの若い女の子達に人気の男。 「なんだか、結婚式とっても楽しみになりました!ね♪」 「だな。小野寺さんに案内してもらってよかったよ」 腕を組ながら嬉しそうに話すカップルに、 「いえいえ、お二人の大切な結婚式を我々に任せていただけるなんて、とても光栄です! 全スタッフでサポート致しますので、最高の一日を一緒に作り上げましょうね。」 ……あんなことサラッと言われたら、心捕まれるよなぁ~。 満足げにエントランスを後にする二人。 今月に入って、もう何組目だろう。 この人にかかると、みんな魔法のように彼の虜になってしまうのだ。 もちろん、セールススキルは半端ない。 さすがは年間成約数ナンバーワンという偉業を成し遂げただけある。 10館ある全ての系列結婚式場内で、しかも3年連続! あり得ない。凄すぎる。 ……でも彼の強みはそれだけじゃない。 濃紺の細身のスーツを嫌味なくらいピシッと着こなし、 短めの黒髪を程よくセットした、清潔感と好感度狙いのヘアスタイル、 無駄に長い足が、無駄に整った顔面とあいまって…… 「……おい原田、お前…… 誉めてんの? 喧嘩売ってんの?」 「へっ!?」 真横で噂の低音が響いてハッと顔を向けると、 眉間にシワを寄せて流し目を送ってくるその人…… 「小野寺マネージャー……」 小野寺 (たすく)。 ここ、 グランマリアージュ迎賓館のブライダルマネージャーだ。
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