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まっすぐに
お着替えと支度を終えた凌輔さんと新木さんを、駐車場までお見送りする。
「うぅ~、風が出てきたね」
「披露宴の間は穏やかで暖かかったですよね」
「そうだね、ホント天気に恵まれたよ」
三人で話しながらエントランスをくぐると、
「俺も行く」
背後から、あの低音が響いて。
私はビクンと身体を震わせてしまい、ばれないよう内心ひやひやしながら取り繕う。
「侑!」
凌輔さんが私の後ろに向かって嬉しそうな顔を向けた。
「……さみ」
大きな身体を縮める小野寺さんを、凌輔さんは可笑しそうに笑った。
「相変わらず寒がりな」
「俺は余計な肉がないから」
どこかで聞いたことのあるやり取りに、私もクスリと笑ってしまう。
「今日は本当におめでとうございます!また、いつでも遊びにきてくださいね」
「ありがとう、原田さん!小野寺くんも」
「あぁ」
「侑……いろいろ無茶やらせてごめんな」
凌輔さんが少し申し訳なさそうな顔で頭を下げると、小野寺さんは「本当にな」と頬を掻いた。
「……まぁでも、俺もお前とまたサックスやれて、楽しかったよ、結構」
「侑……ありがとう」
「二人で幸せに」
凌輔さんにそう言った小野寺さんの目尻を下げたその笑顔……
やっぱり私、好きだ……。
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