アクシデントはつきもので

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アクシデントはつきもので

『今の……もう一回、言って』 『……す……好きです、小野寺さんのこと……』 震える声で伝えると、小野寺さんの腕にぐいっと引き寄せられる。 すっぽりと抱き竦められて、吐息混じりの声が耳を擽った。 『……おっせーよ』 『え………?っん、』 頬に大きな手のひらが添えられる。 小野寺さんは、上半身を屈めながら顔を傾けると、私の唇に触れるだけのキスを落とした。 二、三度、そうやって啄むようなキスをしたあとに、顎の下をくいっと引かれて私の口は少し強引に開かれた。 滑り込んだ舌の感触に、ビクリと身体が跳ねる。 小野寺さんは薄目を開けて私を見下ろしたまま、ふ……と鼻で笑い、上顎の裏に舌を這わせた。 『あ……、ん、……待っ……』 『待たない』 『ふぁ……ん』 唇の端を舐め上げられて、私の口から蕩けた声が漏れる。 『違……!まだ、……聞いてない……んっ』 『何を?』 『お、小野寺さんの気持ち……です……!』 『あぁ』 軽く相槌をうちながらも、小野寺さんは私のシャツの裾を捲り上げ、手のひらを背中に滑らせた。 ブラジャーのホックに指をかけて、焦らすように軽く引っ張られる。 『……ふ……』 私はこの先を期待して思わず身悶えしてしまう。 切れ長のアーモンドアイの奥が、熱と色気と欲を纏っていつもより濡れて見える……。 鼻が触れあうほどの至近距離で、もう一度視線を交わした。 あぁ……夢でも見てるみたい。 『俺は、お前が………………』 ―――――――――――――――― ――――――――
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