私には関係ないのに

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私には関係ないのに

蕪と長葱の豆乳グラタン ししとうのゆず胡椒炒め 鰹とアボカドのユッケ それに、まずは日本酒緑茶割りで。 休みの前日、落ち着く空間、美味しいご飯とお酒が揃えば、 控えめに言っても最高のアフター8! 「んん~……はぁ、美味し……」 私が箸を口に運びながら思わず溢したため息に、 カウンターから、見供さんの「ぷっ!」と可笑しそうに吹き出す声。 「美沙緒ちゃんてさぁ、幸せそうに食べるねってよく言われない?」 ……そういえば七重や職場の後輩に、同じようなこと言われたことある気がする。 「だって、本当に美味しいんですもん」 食べることに浸ってた自分にちょっと恥ずかしくなり、残りの一口を大きく頬張る。 先日七重に教えてもらった『bar 味供-mitomo-』 大好きな日本酒の種類が豊富なのはもちろん、 店長の見供さんが作るお料理が、どれも抜群に美味しくて。 見供さんは、元々老舗の割烹で働いていたらしく、 日本酒に合う和食を熟知している。 お酒とご飯を一緒にイケるタイプの私にはぴったりで、すっかり気に入ってしまった。 休みの前日で早くあがれた夜には、 こうして一人でもお邪魔するようになった。 お一人様呑み、気楽でのんびりできて実は大好き。 「あ」 カウンターでチラリとスマホの着信を確認した見供さんが、そう呟いて同時に私の顔を見やる。 「ん?どうしたんですか?」 「あー……美沙緒ちゃん、俺言ってなかったことがあるんだけどさ、」 見供さんがそこまで言ったところで、 カランカラン お客さんが来たようで入り口のドアが開いた。
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