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違うって言ってんだろ
「そろそろお開きでーす!」
「はーい、ゲスト誘導準備オッケーです」
「15分押しです、次の組のどんでん超速でいきましょう!」
もうすぐ、一組目の披露宴がお開きになる。
スタッフが耳に付けているインカムでは、いろんな指示が飛び交ってる。
ちなみに、どんでんっていうのは、一組目の披露宴セッティングを片付けながら、次の組のセッティングをすること。
テーブルの卓数から、レイアウトから、クロスやナフキンの色まで全て違うから、短い時間のなかで間違いの無いように切り替えるのは毎回大忙しなのだ。
大量のグラスとお皿を下げて、クロスをかけ替えたら、今度はシルバーセッティング。
ナイフ・フォーク・スプーン……オードブルからメインディッシュ、デザート用まで全て位置が決まってる。
時間は絶対厳守。
たとえ、前の披露宴が何分押そうとも。
まぁ、正直……どんでんの最中はとてもお客様には見せられないな。
「5分後開場、いけそう?」
インカムで小野寺さんの声。
マネージャーも、週末はお客様対応で引っ張りだこだ。
「大丈夫です!」
新郎新婦のメインテーブルを最終確認していた私は、ぐるっと会場を見渡して大きく頷く。
打ち合わせ通りのコーディネートが完成された披露宴会場。
「みんな、セッティングお疲れさま。お陰で完璧です!次のお客様も笑顔でお迎えしましょう!」
「「ハイ!」」
さぁ。
また新しいご夫婦とそのご家族、そして、ご列席の親しいゲストの方々をお迎えして、幸せ溢れるひとときがはじまる。
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