Two of a kind -Tasuku side-

1/4
10341人が本棚に入れています
本棚に追加
/439ページ

Two of a kind -Tasuku side-

「なんだ、ありゃ」 忙しなく去っていく原田の後ろ姿を、コンビニのガラス越しに見送りながら、思わず呟いてしまった。 似た者同士……ねぇ。 原田は妙に勘が鋭いところがあるから、タチが悪い。 はぁ、と溜め息を落としてから、俺はスマホのメッセージ履歴を開いた。 "Ryo" 一番上に、そう表示された未読のメッセージが一件。 時間は披露宴がお開きになって一時間後。 俺がそのメッセージに気づいたのは、スタッフルームで事務仕事をしているときだった。 通知ポップアップには、 『よかった、連絡先変わってなかったんだ。 侑、お前に』 そこまで表示されていて、俺はすぐさまその通知を閉じた。 お前に、……何だって言うんだ。 話したいことがある? 俺は今更話すことなんて、ない。 他にも数人のスタッフが居るというのに、無意識に舌打ちをしてしまって、咳払いで誤魔化した。 こちらが連絡先を削除しても、相手に残っていると知り合いかも、とご丁寧に知らせてくるこのシステムは、正直ありがた迷惑も甚だしい。 あー……番号なんて変えておけばよかった。 そう思う一方で、凌輔は俺の連絡先を消していなかったのか、と思う自分もいる。 ……あんな別れ方をしたというのに。 己の女々しい思考にイライラして、その事で絡んできた鳥飼についあたってしまった。 「……ダッセ」 スタッフルームのドアを閉めながら、俺は自嘲気味にそう吐き捨てた。
/439ページ

最初のコメントを投稿しよう!