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Two of a kind -Tasuku side-
「なんだ、ありゃ」
忙しなく去っていく原田の後ろ姿を、コンビニのガラス越しに見送りながら、思わず呟いてしまった。
似た者同士……ねぇ。
原田は妙に勘が鋭いところがあるから、タチが悪い。
はぁ、と溜め息を落としてから、俺はスマホのメッセージ履歴を開いた。
"Ryo"
一番上に、そう表示された未読のメッセージが一件。
時間は披露宴がお開きになって一時間後。
俺がそのメッセージに気づいたのは、スタッフルームで事務仕事をしているときだった。
通知ポップアップには、
『よかった、連絡先変わってなかったんだ。
侑、お前に』
そこまで表示されていて、俺はすぐさまその通知を閉じた。
お前に、……何だって言うんだ。
話したいことがある?
俺は今更話すことなんて、ない。
他にも数人のスタッフが居るというのに、無意識に舌打ちをしてしまって、咳払いで誤魔化した。
こちらが連絡先を削除しても、相手に残っていると知り合いかも、とご丁寧に知らせてくるこのシステムは、正直ありがた迷惑も甚だしい。
あー……番号なんて変えておけばよかった。
そう思う一方で、凌輔は俺の連絡先を消していなかったのか、と思う自分もいる。
……あんな別れ方をしたというのに。
己の女々しい思考にイライラして、その事で絡んできた鳥飼についあたってしまった。
「……ダッセ」
スタッフルームのドアを閉めながら、俺は自嘲気味にそう吐き捨てた。
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