トラウマなんかじゃない

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トラウマなんかじゃない

今日は週の真ん中水曜日。 打ち合わせが早めに終わり、いつもより一時間近く早く退社できた。 見計らったかのように、親友から飲みのお誘い。 加えて……明日はシフト休み! こんな素敵なコンビネーション、年に1、2回しかきまらないから、どうしたってテンション上がってしまう。 結婚式業界は土日が本番だから、基本は平日休みだ。 休みがカレンダー通りの友達や、子供がいる友達と予定を合わせづらいのが難点。 だけど、どこに行くにもお店は空いてるし、もう10年近くこの生活リズムだから、今では土日に人混みに出掛けられる気がしない。 鼻歌まじりに支度を終えると、足早に職場を後にする。 車で15分の距離の家に一度帰り、軽く化粧直しをしていると、スマホの通知音がメッセージを知らせた。 『下に着いたよ!準備できてる?』 『ありがとう、すぐ行くね』 手早く返信して、厚手のストールにくるまって家を出る。 駐車場の端に停まっている軽自動車をノックすると、中からドアが開いて軽快なK-POPが外に漏れ聞こえてきた。 「よ、お疲れさま。なんか久しぶりだね」 私の一番の親友、七重(ななえ)。 ホテルのレストランで働いてる、元同期だ。 「七重ありがとね、迎えに来てもらっちゃって」 「いいって。それよりお店すぐ近くだから行こ行こ!お腹すいたぁ〜」 七重から「美沙緒が好きそうなお店を見つけた」って連絡が来たのが、先週のこと。 お互いシフト制でなかなか休みも帰りの時間も合わないから、こうして飲みに行くのも、2か月ぶりになる。
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