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「おはよー」
「あ、莉心おはよぅー」
前髪なっしのオールバックポニーテールの莉心が元気に挨拶した。葉月は莉心の前の席の机にリュックを置いて教科書たちを机へ突っ込んでいく。
玲と初も準備を終えて2人はもう話を始めていた。葉月は話に加わることなくゆっくりと準備を終え、本を読み始めた。
「なんの本?」
「なんかね、病院の推理…みたいな話。美香に借りたんだ。面白い。」
莉心の質問に表紙を見せながら言う。
美香は体調が良くない午前中は学校に来ない。午後に来ることもあんまり無いが。
しかし、葉月だけは幼馴染みの美香の家に遊びに行っていた。外に出ない分、料理やお菓子作り、ピアノが上手くて、“美香の作るお菓子がおいしい〔本人談〕″とかでもある。
「へー。今度調べてみよー。表紙が可愛い」
「うん。面白いよー」
「はい、そろそろ朝読書の時間ですよー」
教室に入ってきた先生を見て、後ろに本を取りに行った人がいたり、自分の席へ戻ったりして皆が読書を始めた。
~~~♪
キーンコーンカーンコーン……
ガラガラガラ…
「はい、皆おはよう!」
そんな掛け声とともに担任の先生が入ってくる。少しふっくらめの運動してそうに見える今年30歳の中川 武彦先生。
「はい、朝の会するぞ。じゃ、今日の日直は……坂口と佐藤な。」
「きりーつ、れーい。」
「「「ぉはょぅ…ぃ…す…。」」」
皆の元気が無さすぎてとぎれとぎれに聞こえた挨拶を終え、着席すると中川先生が手を叩いた。
「はい!皆、元気出して!」
1人元気な中川先生を生徒が無反応で見つめる。みんな朝に弱いですね。人のこと言えませんが。
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