幼馴染という台風

1/2

9人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ

幼馴染という台風

「ただいま~」 玄関からいつもより元気な声が聞こえた。 「あ、お帰り。早かったねぇ?」 テーブルで一息ついていたおばあちゃんが3時半を示す時計を見ながら言う。 「インフル祭りでさぁ~全部活休みですっ!!」 HEYっ!という掛け声とともにブレザーをぶん投げた葉月が嬉しそうに踊る。へいへいへ~い♪ 「葉月、美香ちゃん家今日も行くの?」 「んーー。そうしよっかなぁ」 自分の部屋から出てきてジャージというフリーに着替えた葉月が1つのショルダーバッグを掴んで出ていこうとすると、おばあちゃんが引き止めた。 「今日くらいは持ってきなさい、ほら今回はガトーショコラよ!おばあちゃん、流行に乗ってみたわよ!仲良く食べんさい。」 「うん、ありがとう。でもね、美香ちゃん家行くといつもお菓子でるんよ?」 「若いんだから沢山食べても平気よ☆」 「…んんんんん?」 しばらくしてガトーショコラが詰まったタッパーを持った葉月が出てきた。 「美香のが美味しいし……」 マフラーに隠れた口を尖らせた葉月はどこか不機嫌だった。 階段を3階分下りて角の家のチャイムを押す。すると、確認するまでもなくドアが開いた。 「やっほ!葉月!今日は早いね!」 「やぁ、今日は部活が無いのです!やったね!」 ずり落ちそうな大きな眼鏡にショートカットの美香が元気に葉月を家の中へ引き入れる。 「こんなに元気なのになんで学校来ないんよ?」 「夕方らへんは元気なの!朝らへんは頭痛とかがさぁ…。」 「…まぁ、ゆっくりいきましょー。」 「そーしましょー。」 2人は仲良く廊下を滑っていった。フローリングとか靴下でやると良く滑るよね。特にモフモf…(無駄な話は止めます。ごめんなさい。) リビングまで来たのにまだ滑っていく美香を見て葉月が不思議に思った。 「あれ?美香の部屋変わったの?」 そんな葉月の質問にニヤリと笑みを浮かべた眼鏡は妖しげに光っていた。(比喩的なね。ホントは光らないよ) 「ふっふっふー……」 美香からは不気味な答えしか返ってこなかった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加