オルタナティブ・リスタート

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 朝が来た。  遺跡は静けさに包まれていたが、ゴーレムの破片が生々しく積みあがっているのを見るたび、あれは夢ではなかったと認識させられる。 「なあ、ギルダ」 「何だい?」  イリスは荷支度をするギルダを見やる。 「その剣、どこで手に入れたんだ?」 「ここだよ。岩から生えてたのを抜いたんだ」 「岩から?」 「うん。英雄の聖剣ヴァルフリートがここにあるってのは一部で有名な話で。でも誰一人として抜けなかったんだってさ。アタシが手をかけたらするっと取れたけどね」 「そうか……」  イリスは思う。彼女がケイリンの言うところの『然るべき人』なのかと。良く分からないと思う反面、そうかも知れないとも思う。少なくとも、かつての自分の愛剣は認めたわけだ。  彼女が振り返り、笑う。 「さ、行こうか」 「どこへ?」 「とりあえず、近場の町かねぇ。アンタの服だのなんだの、必要なものを揃えなきゃいけないだろ?」 「でも、オレ持ち合わせなんか……」 「バカだね、アンタ」  ギルダは明るい表情でカラカラと笑った。 「これも何かの縁だ。アンタの面倒はしばらくアタシが看るよ。女同士、気にしなさんな」 「オレ、自分では男だと思ってるんだけど」 「でも外見は女だろう? まあ、なんだか良くわからないけど、あんまり気にしなさんな」
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