オルタナティブ・リスタート

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……奥の間では魔性の貴族・闇焔公が座して二人を待ち受けていた。壮年の美丈夫の姿をしていたが、全身から立ち上る禍々しい気配は彼こそがこの地に暗黒をもたらしている元凶なのだと知るに十分だった。  何の前触れもなくその姿が消えた。同時にケイリンの悲鳴が響く。 ――逃げろイリス!  背筋を貫くような悪寒がはしる。  イリスは跳び、一瞬前まで己がいた場所で風が割れるのを感じた。  素早く受け身を取り、剣を構える。闇焔公が振り下ろす漆黒の刃を聖剣で受け止め、魔性の紅色の瞳を見据えたまま叫ぶ。 ――ケイリン、頼む!  無数の巨大な氷槍が宙に出現し、あらゆる方位から魔性の身体を貫く。だが、まだ終わりではない。  雄叫びを上げ聖剣を突き出し、闇焔公の首を狙った。そして……
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