1 高御座の縁

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 私は、へ?高御座の御簾を掲げる役?即位?とだけ思っていたのだが、父は非常に嫌そうな顔をした。  対照的に、母はそれはそれは喜んだ。 「女王はお后候補ということなのよ」   のちに知ったことだが、即位された新帝の元服はまだ先と予定されていた。しかし、すでにどなたを入内させるべきかについて、右大臣と後に「二条の后」と呼ばれる東宮生母の弘徽殿の女御の兄妹の闘争はすでに始まっていたのである。  間に挟まれた水尾の帝は新帝の第一の妃になるべき、添臥の姫君をどなたにするのかを弘徽殿の女御と、堀川の右大臣と話し合われた。  右大臣が推したのが、右大臣の姫君だ。右大臣の北の方の女王は姫を産まれたばかりだが、二人目の奥方の女王のお産みになった温子姫を新帝に、側室腹の佳美子姫を弟宮にそれぞれ入れさせようとした。  それにが弘徽殿の女御が強く反対された。  これを右大臣は「女の醜い嫉妬」と切り捨てようとなさった。  実は、佳美子姫の同母姉の佳珠子姫はすでにお亡くなりだが、水尾の帝の寵愛深い女御で七の宮をお産みになっておられた。変わって異母姉の頼子姫がこの七の宮の母代として宮中にお入りになった。弘徽殿の女御はすでに亡くなられたこの方に嫉妬を見せたという話になっているが、そうではあるまい。  帝は、女御の言うこともきちんと聞いてみようと、大臣に仰られた。     
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