集結する力

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緊迫した空気の中に、ほんわかした幸せがあった。 ここは校長室だった。隣の控え室には便宜的に設えられたベビールームがあった。 ベッドにクリステラを寝かせて廊下に出たフランチェスカは、自分を待ち受ける3人の生徒の姿を見た。 「貴女達」 カルミナ・フェラータ、サンドラ・アルテイシア、フォルトゥナ・ブラーナ。 魔法剣士を志す、フランチェスカの直弟子達だった。 「話は聞きました。私が最終学年です。先生の期待に答えて見せます」 「こう言う時のために私達がいます」 「対人系攻撃魔法は学んできました。アカデミーを守るために戦います」 それぞれが、宮廷騎士の娘達だった。ランクはシルバー。充分即戦力と言えた。フランチェスカが見出した生徒達だった。 「ありがとう。遠距離攻撃魔法はアカデミーの本文よ。それを越えた先に私達の戦場はある。貴女達には、敵を斬る覚悟がある。人を殺すのは簡単よ。人の心をなくせばいい。問題は、一度失った心をどう取り戻すか。帰ってきましょう。帰ったら、みんなぎゅーっとしてあげる」 そう。ユノも戦っている。おそらくジョナサンも。 勇者の妻。ずっとその本領の発揮を待っていた。今、この時、フランチェスカは敵が来るであろう方角を見据えた。その目は、本物の闘争に身をおく、抜き身の刃にも似ていた。
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