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ジリジリとした時を抱えて、ジョナサンはアルビオネの演説が終わるのを待っていた。
みんな、無事か?フランチェスカ、クリステラ。
ジョナサンが、生徒達を思う気持ちは本物だった。
誰一人欠けさせない。
もっと早く、生徒達に銃を教えていれば。
いや駄目だ。生徒達に戦争の手管を教えることは出来ない。
何故こうなった。そして、何故俺はそこにいない。
間に合わないのか。俺は。妻子を、最も守りたいものを守れずして、何が英雄だ。何が勇者だ。
万雷の拍手と声援を負って、アルビオネは戻ってきた。
「お待たせしました。参りましょう」
「どう纏めた?」
「基本的には真実です。法主は自殺です」
「お前等は自殺出来ないんじゃないのか?」
「ええ。法主は自らの命をもって背信者を滅した。と言うことになりました。では、参りましょう。時間はあまり残されていませんので」
「ああそうだな。王都の移送方陣で飛ぶのとどっちが早い?」
「軍勢ですので、飛行艇団で行きます」
「軍勢?」
「ああ。相変わらず人の話を聞かない。今回の件で貴方は異端者どころか聖都を救った英雄になりました。神に祝福された英雄の危機に、皆救援に向かうとのこと。つまり、二万の僧兵が貴方の指揮下に入ったのです。僧兵は強靭な肉体と魔法力を持った兵士です。しかも現在彼等は神の威の前でラリラリになっています。利用しちゃってください。貴方は、その権威をもって聖都を落としたに等しい。聖騎士ジョナサン・エルネスト。信徒の指揮をお願いします」
とんでもないことになっていた。
しかし、この救援はありがたい。ジョナサンは素直に甘える事にした。
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