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『センセー、おはよう』
「はい、おはよう」
『久世、はよー』
「先生付けろ。ちゃんと挨拶しろ」
生徒たちと挨拶しながら制服の乱れをチェックしていく。
そして、ある一人の生徒を見つけた。
「おい、桜井。スカートが短い。ピアスするな。ルーズソックス履くな。」
「ちっ。久世いんのかよ…最悪…」
二年甲組、桜井桃。保の運命の相手。
保と桃が最初に会った時、保は体の全身の細胞が騒いでいることに気付いた。
世間一般で言うところの、運命の番だとすぐに分かったが、桃は気付いていないようだった。
「とりあえず、こっち来い」
短いスカートに茶髪、ピアス、ルーズソックス…。全部校則違反。
生活指導日の摘発常習犯だ。
だけど、成績は常に上位5位以内に入っている秀才だ。
他の先生たちは成績重視で物事を見ているので、彼女に対してあまり強く言ったりしない。
事実、レガーロ学園の進学実績は国内トップで、ちょっと派手な外見くらい大目に見てしまうのが事実だ。
ここまでしつこく言っているのは、保くらいなのだ。
「いつも言っているだろう、桜井。スカートを長くしろ。ピアスはシリコンの透明のヤツにしろ。ルーズソックスじゃなくてハイソックスを履け」
「…はいはい」
いつものことながら、聞く耳を持たない。
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