日常

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保と桃が最初に出会ったのは十年前に遡る。 きっと桃は覚えていない。 保が高校二年の秋、桜井家が主催のパーティーに呼ばれた。 来賓として呼ばれたのは元華族だらけの豪華なパーティーだった。 当時の保は成績はいい方ではなく、クラスでも周りからいじられる立場にあった。 パーティーなどの華やかな場所が生来苦手な保は、本当は行きたくなかった。 行けばクラスの連中に会い、会場でいじられるような気がしたからだ。 しかし、父の付き添いとしての役目があったため、どうしても行かねばならなかった。 会場に到着し、父は顔見知りに挨拶に行ってしまった。保は一人残された。 周りを見渡すと、想定した通り、会場にはクラスの連中がいた。 『おい、保。俺ら腹減ってんだわ。何か食うもん取ってこいよ』 「うん。わかった」 いつものことだ。彼らにパシらされる。 料理を取りに行って戻る。 『これ、さっき食ったやつじゃん。違うやつにしろよ』 『俺ら今腹いっぱいだから、それ全部お前食えよ』 結局保は連中に振り回されてばかりだった。 そんな時、まだ小学生の桃が近寄って来て一言言った。 「お兄ちゃんたち、そんなことしてかっこ悪いね。何が楽しいの?」 保と連中のやり取りを一部始終見ていたのだった。 周りの大人がこちらを見る。何事かと人が集まってきた。 保をいじっていた連中は親に首根っこを掴まれて保に謝罪後帰宅の途に着いた。 桃はどこかに行っていて、パーティー会場にいなかった。
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