君には見えてなくても、それでもいいから。

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「……ははっ……」    乾いた笑い声が出たが、もはや仕方ないだろう。  どうしたらいいんだ。  飽きてポイッと捨てる女だとは、よく周りの人間からは聞いていたが、だけどここまで苦しいなんて。僕と二人きりの時はよく笑ってくれていたじゃないか。  全部演技だった?  そんなの考えたくない。  この染み付いた心の傷を癒やしたい。  そうだ。  外に出よう。  もう三日ほど、外に出ていない。  今が冬休みでなければ完全に、引きこもりとして認定されていた。もし、今日も学校があって、そこで彼女と出会ってしまったら、僕はどう反応すればいいんだろう。  僕はクリスマスイブに彼女と別れた。  その日は終業式で、式が終わって一緒に下校している時に、彼女にそう言われてしまったものだから、頭がついて行けなかった。しかし、三日目の今日、ようやく自覚するのだ。  あぁ、独りになっちまったなぁ……。    気づけば外に出ていた。  鍵を閉めて、アパートから離れたところまでは記憶がある。  しかし、いつの間にか、ただ意味もなく歩いているだけになった。  もしこの時、となりに彼女が居たのならば。  この時間は一体どれだけ幸せなんだろうか。       
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