君には見えてなくても、それでもいいから。

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君には見えてなくても、それでもいいから。

 単刀直入に説明すると、彼女と別れた。 ――一体、何がいけなかったのだろう。    僕は今でも、それが不思議で仕方がない。  だけど、きっと“それ”を理解できないというのが、僕が彼女にフラれた原因なんだろう。 「女は……複雑だなあ」  僕は、そう一人で呟く。  自宅でソファーに寝そべりながら、スマホゲームに没頭する。  電源は、残り三パーセント。  もはや、ゲームが出来ているという事自体が奇跡に近い。  すると、スマホ画面が真っ暗になる。  正真正銘の電池切れだった。    まずい。  電源が切れてしまうと、とてもまずい。  今まで、ゲームで気を紛らしてきたのに。  考えちゃいけない事が一気に噴き出す。  「……くっそ……」    僕に何の落ち度があった?  なにがいけなかった?    考えたところで、“正解”なんてないのは重々知ってる。  でも、今は考えられずにはいられないんだ。  僕は、ただ君と同じ場所で、同じ空気を吸って、同じ話をして、同じものを食べて、同じように笑いたかった。  どうして別れてしまったのか。  僕は、彼女に飽きられてしまった。  ただそれだけの事。たった、それだけの説明で、今回の説明は充分過ぎるほどだった。       
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