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 勉強をしたくない私の視線は次に、参考書でも教科書でもなくみっちゃんに移された。  部屋の端には小さい木製のゴツゴツした座卓が置いてある。1人分のお茶碗とお椀しか置けないくらい小さい座卓だ。そこにはいつも花瓶が置いてあってなにかしらの花が一輪差してあった。 そしてみっちゃんは1日に一回は、この座卓の前に座ってなにか考え込んでいた。 わたしがここに泊まってから何日か経つけど、欠かさずみっちゃんはこの動作を行うからこれは、なにか意味のある習慣なんだろうな、とは思っていた。 でも、大抵わたしから話しかけても無視されるので、(みっちゃんからはたまに話しかけてくれる)はたからみたらタチの悪いおばあちゃんだがわたしに食住を提供してくれているので文句は言えない。  だからわたしは勉強のやる気も出ないし、みっちゃんから何か話しをしてくれないかなあと薄ら期待をしていた。  ぺちゃんこで、ギザギザの畳でずっと寝っ転がるのは意外と至難の技で、体の節々が痛くなってくるけれども体制を変えると畳の繊維が刺さるから、それもそれで痛いから、わたしは前者の痛みを選んだ。じぃっとみっちゃんを見ても、みっちゃんはじぃっと花を見ている。  ねぇねぇ、なんか話してよ。  そうテレパシーを送ってみたが、話しもろくに聴いてくれないおばあちゃんがわたしのテレパシーを受信してくれるわけがなかった。  わたしは昔から良くも悪くも待てない子供だった。高校生になった今も、改善の余地はなく待てない子供だ。犬の方が待てるかもしれない。でも、カップラーメンくらいは待てるけど。だから、わたしは先刻テレパシーで送信した文章を丸々コピーして声に出た。
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