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ごつんと何かがぶつかり、俺は夢から醒めた。
随分眠ってしまったようだ。太陽は水平線に近づき、あたりはほんのりとオレンジに染まっている。潮も大分満ちてきて、俺の爪先あたりはもう湿っていた。
じくじく痛む頭をさすりながら起き上がる。何がぶつかったのだろう。流木か?それとも漂流ゴミか?
右を向いても何も無い。砂浜がずっと続いているだけだ。
それじゃあと思って左を見る。そして見つけた。俺にぶつかった「それ」は、流木ではなかった。ゴミでもなかった。
二本の足に二本の手、銀色のショートヘア。白いシャツの上に羽織った灰色のベスト、黒いズボン。
俺の目の前で横になっていたのは、一人の少女だった。
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