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目の前で誰かが倒れているのを見たら、普通はどうするのだろうか。
駆け寄る? 心配して声をかける? 助けを呼ぶ? まぁ大体こんなところだろう。
その中から選べばいいのに全く別の選択をするあたり、やはり俺は普通の人では無いのだと思う。
「そこ、良いのか? 」
俺は海に視線を戻して呟いた。少女は砂に横たわったまま動かない。
「砂浜で寝るのはいいけどさ」
返事はない。
「そろそろ日が暮れるぞ。帰ったほうがいい」
返事はない。
「……」
俺は砂浜に座った。
「あんた、誰だ? 」
そして尋ねた。返事は
「……んん」
言葉はあったが、返事ではなかった。
少女が起き上がった。
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