第1章

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「え、まさか……いくらストームさんでも。こんなに可愛くて華奢な千鳥さんを……」  面と向かって女らしさ満点のエステル殿に自分の容姿を褒められると照れてしまうでござる。  拙者はえへへとにやつく口元を指先で押さえ、「落ち着け―拙者」と心の中で念じます。  はあああ、少し落ち着いてきたでござる。   「拙者、エステル殿と違って……その」 「千鳥さん……あ」  拙者の視線に気が付いたエステル殿は自分のたわわなおっぱいを下からすくい上げるようにして腕を組み、悩んでいます。  そ、その仕草は心をえぐるものがあるでござる。 「千鳥さん、お店の酔っぱらったお客さんが『揉めば大きくなる』とか言ってました!」 「エ、エステル殿、な、何を……ひゃああ」 「痛くないですか?」 「は、はいですう。で、でも何だか変な気持ちに……」 「こ、この方がいいでしょうか」 「……っつ。あっ……んんっ。エステル殿、女同士でこのようなことはダメでござるう」 「男の人なら……ストームさんに頼みます?」  ストーム殿の名が出た途端に、ますます気持ちが昂って……。   「ダ、ダメですう。エステル殿おお」  彼女の手を振り払い、お返しとばかりに。   「手が隠れそうです」 「わ、私はこれ以上、大きくなりたくな……っあ」 「エステル殿……」 「ん、んん。そこは……ダ、ダメえ……あ……っつ」  エステル殿が拙者の手を掴み、上にあげます。  拙者とエステルどのは座った状態で拙者が体を前に乗り出す形でエステル殿の方へ重心が傾いておりました故。  いきなり手を上にあげられますと、身長差もあり拙者の体がバランスが取れなく。    結果。  エステル殿を押し倒してしまいました。    むちゅう。  唇と唇が都合よく接して……。  エステル殿の息が拙者の頬に。   「い、今のは女の子同士なので、ノーカウントですよね!」 「は、はいです」  もしストーム殿だったら……拙者から押し倒す形でなく反対に……な、何を考えているでござるか! 拙者。  口元を指先で押さえ、「落ち着け―拙者」と心の中で念じるのですう。    お話で盛り上がったのはよかったのですが、この後エステル殿がのぼせて倒れてしまいました。  彼女を姫抱きして、休憩室に向かったでござる。    そこで彼女を寝かせ、起きるのを待つことにしたのでした。 53.閑話3.ファールード ――ファールード
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