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とはいっても、学園内は広い。当てずっぽうに探していたら夜が明けてしまう。私は魔法を使うことにした。
1年生なら誰でも使える、初歩的な魔法だ。エデのベッドから持ってきた彼女の髪の毛をろうそくで燃やし、囁くような小さい声で呪文を囁く。
風もないのに、ろうそくの炎がはためいた。成功だ! 探し物は、このろうそくがはためいた先にあるのだ。
私は周囲に誰にもいないことを確認しながら、髪の毛を燃やしつつ、エデがいる方向へと向かっていった。
たどり着いたのは教師棟だった。魔法学園の教師たちが寝泊りしたり、研究を行ったりする場所。どうして、こんなところにエデが? 私は教師棟の裏口から、ゆっくりと中へと進入することにした。
どうやらエデは最上階にいるらしい。最上階って、学長先生がいるところじゃないか。先生に見つかったらやばい事になるのは、エデだけではなく私もだ。消灯時間はとうの昔に過ぎている。
私はぎしぎし鳴る木製階段を上りきると、暗い長い廊下を凝視した。ステンドグラスが規則的に並んでいるが、外は夜なので美しい光を見ることは出来ない。
風がふわりと吹いてきて、私のろうそくの光を消した。私は驚いて辺りを見回した。そして、暗闇から小さな白い手が伸びてきて、私の肩を掴んだ。
「エデ!!」
私は小声で叫んだ。
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