第3章「予期せぬ襲撃と黒白の舞姫」

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「その覚悟は自分の陰を受け入れる時に決めた」 カミナはフッと笑うと言う。 「良かろう。主人(マスター)少年を連れて行くぞ」 「···うん」 その言葉にラシルは頷くとフッ···、2人の姿が消えた。 ラシルはマスターを見て言う。 「任務完了のサインを貰って帰りましょう。マスター」 マスターは頷くとラシルと共に村長の家へ向かう。 任務を完了させて、ギルドに戻ったラシルはマスターに話す。 「マスター···私行ってくるよ」 その言葉にマスターは目を見開く。 「···また暫く帰って来れないって事?」 その問いにラシルは首を振ると話す。 「帰ってくるよ。ただ直ぐって訳じゃないんだ。ごめん」 謝るラシルにマスターは頭を撫でながら言う。 「貴女の成すべき事をちゃんとやって来なさい」 その言葉にラシルは頷く。 「じゃ···行ってきます」 「いってらっしゃい」 マスターは娘を見送る。 ラシルは転移で何処かに向かう。 夜、ある邸の部屋の中で2人の人物が対峙していた。 「誰だ貴様は! 私が4第貴族 アオイ・パルートと分かっての侵入か?」 アオイの言葉に相手は答えた。 「そうですよ。ただし···“お前”ではなく『本来のアオイ・パルート』にね」 「ッ!?」 アオイは一瞬目を見開く。 「何を言っている。私を偽者呼ばわりするとは···貴様は許さん、命が無いと思え!」 そう言って攻撃を仕掛けて来たアオイの武器を相手は魔法で受け止めた。 「ッ!?」 アオイは自分の剣が魔法で止められた事と相手が使っている魔法を見て、驚愕する。 「そ その魔法···まさか!?」 動揺するアオイに相手は微笑むと話す。 「フッ···そうですよ。この魔法はあなた方が最も嫌う聖なる魔法『神聖』この日をどれだけ待ち望んだ事か···」 相手が放つ魔法の輝きが増していく。 そしてそれは二振りの剣の形になるとそれを握りしめた。 アオイは顔を真っ青にさせながら言う。 「ば 馬鹿な···英雄の血筋など居ない筈! 何故貴様がそれを扱える!」 アオイの言葉に相手は被っていたフードを取る。 「何故かってそれは私が······英雄の生まれ変わりだから···」 「ッ!?」 アオイは相手を見て目を見開くと叫ぶ。 「馬鹿な! な 何故お前が生きている! あの研究所で死んでいた筈だ!」 (やはりあの爆発はコイツの仕業か···) そう内心で呟く。 「何方(どなた)かと勘違いしてる様なので自己紹介をしておきます。 私はラシル・ラクィータ。あなた方、闇の教団を倒す者」 ダッ···、ラシルは地を蹴ると素早くアオイの懐に入り込む。 「ッ!?」 驚愕するアオイにラシルは言う。 「パパを返してもらうわよ!」 ザンザンッ···、剣でアオイを斬る。
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