第3章「予期せぬ襲撃と黒白の舞姫」

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『ギャアアアアーッ!? オノレェーっ!! や······闇······姫様···申し訳···ありません···』 バンッ···、アオイを乗っ取って居た闇がそう呟くと四散し、ラシルは傾く彼の身体を受け止めた。 「······パパ」 ラシルはそう呟くとアオイの胸に手を当てながら呟く。 「彼の者の灯火を救え···天使の微笑み!」 パアアッ···、優しい光がアオイを包む。 「ぅ···」 光が消えるとアオイから呻き声が聞こえた。 ラシルはフードを被り直したと同時に部屋のドアが開くとそこにはツキとミクが立って居た。 「「ッ!? あなた/アオイ!?」」 リアルはサッとアオイから離れると膝まづく。 アオイを抱き起こすツキはラシルを見て言った。 「主人に何をしたのですか?」 「······ご当主様に取り憑いていた闇を打ち払っただけです。治癒は施してありますので朝方には目を覚めましょう」 ツキの問いに答えたラシルは背を向けると背中に施された証が見えた。 「「神帝様!?」」 驚く2人にラシルは少し笑みを溢す。 「フッ···残りの当主に取り憑いている闇も祓います。その後、国中の住民に記憶改善の魔法を施しますので 邸から出ないでくださいね。今のこの時間帯は奴等が活発に動くので」 「はい」 「承知致しました」 2人の返事にラシルは振り返る。 「そう言えば···ラクィータ婦人にはお子様が居られましたね?」 「は はい」 ラシルは右手を翳し、そこに淡く煌めく光球をツキに向かってフワリと飛ばす。 ツキはその光球を両手で受け止めた。 「それをお子様に翳すと私の加護が闇から守ります。完全とはいきませんがね」 そう言って頬を掻くラシルにツキは首を振る。 「とんでもございません。夫を救ってくださっただけでなく我が子にまで加護を 与えてくださるなど···文句などございません。ですが···どうして当家にそこまでしてくださるのです?」 ツキの質問にラシルは少し微笑む。 「亡き友の頼みと···お答えしておきます」 ツキは目を見開く。 「その方はもう···いらっしゃらないの?」 「はい。5年前に···」 「そうですか···」 ラシルの返事にツキは少し落ち込んだ表情で頷くと言った。 「これは必ず息子に渡します」 リーシャは頷く。 「では···」 パチンッと指を鳴らした拍子に姿がフッと消える。 「あのお方······神出鬼没ですね」 ミクの言葉にツキは笑うと話す。 「フフフ······。ミク、主人を寝室へ」 「はい、奥さま」 ミクは頷くとアオイを抱えて寝室へと消えた。 ツキは空を見上げながら呟く。
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