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清宮が、慧の胸に頭をぽすんと埋めてくる。その、可愛い仕草に胸が高鳴った。
――エッチしてえ。
「キヨさん、ベッド行きませんか」
「ダメだよ。今日はキスまでね」
さらっと言って、清宮が体を離した。慧の手から眼鏡を奪うように取る。
「付き合ってすぐにエッチとかありえないから」
さっきの甘さが消えた。さっさと靴を脱いで、清宮がすたすたと廊下を歩いていく。
セックスするまできちんと段階を踏む、というのが清宮のポリシーらしい。
慧も靴を脱ぎ、清宮の後を追った。
「いつか俺とエッチしてくれますか」
「いいよ、いつかね」
清宮が前を向いたまま答えてくる。
――いつかっていつだよ。
自分から言っておいてあれだが。一年以上待たされるのは嫌だ。
「あれ? サトくんは大学行かなくて良いの?」
突然思い出したように、清宮が振り返ってくる。
「あ」
慧はジーンズからスマホを取り出した。もう八時を過ぎていた。
「やば、遅刻する」
今日は午前の講義がびっちり埋まっているのだ。
「いったん家に帰ってから大学に行ってきます。夕方、また来て良いですか」
今日のうちに連絡先を交換したい。
「いいよ」
玄関に戻ろうと体の向きを変えたとき、後ろから腕を軽く掴まれた。
「行ってらっしゃいのチュー」
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