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「いつ見ても圧巻すね……」
慧が呆れたようにつぶやいた。
「圧巻て、使い方間違ってるよ」
冷静に突っ込みを入れ、清宮は足元にあるゴミ袋を数個取った。さっそく四十五リットルのゴミ袋に詰めていく。ゴミは一面に、大量にある。一人や二人が頑張ったところで、劇的なビフォーアフターが出来上がるわけでもない。それで良いと清宮は割り切っている。所詮自己満足だ。
「なんでこんなにゴミが、ここに集まるんでしょうね。普通にゴミの日に捨てりゃあいいのに」
「僕の予想では、これを捨ててるのは企業だと思うよ。汚部屋を片付ける業者とかね」
夜中にトラックで捨てているのだろう。白昼に堂々とはやらないはずだ。他の産廃業者のトラックやダンプカーが、この敷地を行き来しているのだ。
慧も清宮の近くでゴミ収集を始めた。手際よく可燃ゴミ――それも臭いがひどい生ゴミ――の袋だけを選んで、四十五リットル袋に詰めていく。
――まあ、一人より二人の方が良いか。
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