清宮

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 十人、二十人単位で作業する人間が増えて行けば、このゴミの山もそのうち消えるかもしれない。そうなれば、三徳富士から流れる異臭はだいぶマシになるかもしれない――これ以上ゴミが増えなければの話だが。そんな幸運はないだろう。自分たちがゴミを減らしていっても、またゴミをここに違法投棄する輩がでてくる。いたちごっこなのだ。  ――山を閉鎖できれば。  それは無理なことだった。この敷地には企業が入っている。  今日の天気は曇りだ。吹く風もそこそこ冷たくて、汗ばんだ肌に心地いい。  清宮は額に浮いた汗を腕で拭った。嗅覚はとっくに麻痺していて、この場にいるのも苦ではなくなる。 「清宮さん、終わりました」  慧が得意げに笑って、パンパンになったゴミ袋ふたつを手に持ち、揺すって見せる。 「ああ、ご苦労様。僕も終わったよ」  清宮は笑って答えた。両手を重ねて伸びをする。一仕事終えたあとの爽快感を暫し味わった。  ふたりはゴミ袋を持って、下山した。  三徳富士の出入り口から駅まで歩く間、ふたりはとりとめのない話をして歩く。 「君、ゴミ拾い初めて二週間経ったよね。ちょっと驚いてるよ」  隣を歩く慧を、清宮は素直に「凄いね」とほめてやった。  本当に二週間も続くとは思わなかった。出会ったときは、慧のことを、気まぐれを起こしただけの、今どきのチャラい学生だと思っていた。 「清宮さんがゴミ拾いをやる理由に運動不足解消のためって言ってたけど、今は分かりますよ。そこそこ体動かすし、気持ちいいから」     
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