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丁寧な言葉で清宮が注文をする。微笑を浮かべた顔で。
――やっぱりこの人、大人だよな。
慧は大学の友人たちの顔を思い浮かべた。彼らは言葉遣いが良くないし、ファミレスの店員にぶっきらぼうな態度を取る。敬語なんて使わない。
「かしこまりました。ドリンクバーをご利用になれますので、ご自由にどうぞ」
ウェイトレスが満面の笑みを浮かべて会釈をした。すぐに厨房へと向かっていく。
慧と清宮は、さっそくドリンクバーに行き、各々が飲みたいものを選んで手に取った。
慧はアイスコーヒー、清宮はハーブティーだ。
席に戻ったあと、予想通り清宮から話しかけてくることはなかった。慧は少しがっかりする。彼は自分に興味を持っていないのだろうと。
「清宮さんって、どんな仕事をしてるんですか。平日のゴミ拾いの後も、ここでモーニング食べてますよね。仕事始まるのが遅いんですか」
自分から話題を提供するしかないので、慧は気になっていたことを聞いてみた。
清宮はハーブティーのカップに口をつけたまま、慧のほうを面倒そうな目で見た。
「今は会社に勤めてない。フリーランスで働いてるんだ」
「フリーランス? 自営業ってことですか」
「そうだよ。家で仕事をしてる」
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