機嫌の良い清宮

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 ――もしかしたら今、好物を食べてるから機嫌が良いのかも。  そんな考えが過り、慧は頭をフル稼働させた。今のうちに、清宮に頼んでおきたいことを言っておこう。 「清宮さん――キヨさん、俺が前に渡したゴーグル、一度でいいから使ってもらえませんか」  ダメ元で頼んでみる。百均で見つけて買ったピンク色のゴーグル。ぜったい清宮に似合うと思うのだ。 「え? あのゴーグル? ピンクの?」  清宮が目をパチクリさせて不思議そうな顔をする。 「だってあのゴミ山、本当に臭いがひどいじゃないですか。目にも染みるし。ゴーグルしたほうが良いと思うんですよ」  真っ当な理由が口からすらすら出てきた。ちょっとだけ罪悪感。 「――そうだね。今度、安川くんたちと大勢でゴミ拾いするときはゴーグルするよ。いつもより時間がかかると思うし」  マスクもたくさん用意しておかないと、と清宮が独り言ちた。  食事を終えた清宮が一度席を立った。すぐにハーブティーを持って席に戻ってくる。彼がそれを飲み終わるまで、慧は大学や友人の話、清宮は仕事の話をして過ごした。清宮の態度は始終柔らかかった。前回ファミレスに来たときとは全然違う。     
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