16話職業クエスト

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 俺はなぜか彼を探していた。人ごみの中をぬって歩き探す。  見つからないどこにいる? どこにいるんだ? スズメ。  そう思い辺りを見渡すと路地裏に入っていた。誰もいなかった。  俺はとぼとぼと人ごみの中をぬって空船をレンタルした。  途方もないほど空は曇りで包まれている。  太陽は輝きだしている。  赤い光が目に入るたんびにちかちかした。  苦しみが蘇る。サファイさんフールさん。  俺の脳裏に何かが芽生える。それは恐怖であるのか強気であるのかつかめない。  だが、空船をこぐスピードが速くなり天王星の核より上に島が見えた。  そこに不時着すると縄で固定した。    俺はあたりを見渡した墓場ばかり。  沢山の墓場がありプレイヤーが人っ子一人いなかった。  あの噂は本当なのだろうか?  一つ一つのお墓を見つめながら、ようく観察していった。  見つからない、そんな幽霊はいるのだろうか?  一人の老人とすれ違う。  足がなかった。  俺は恐怖よりも、見つけた心がうれしかった。 「あのうお爺さん」 「は、は、は、花咲き爺にならんかえ」 「なります」 「は、は、はっくしょん」 「花粉症ですか?」 「いやいや、ではクエストを出そう」  老人がにやりと微笑んだ。 「この種を、墓の土で芽を出させてみろ」 「これですか? 何の種です?」 「見てからの楽しみじゃて」  花咲き爺さんは口の周りが真っ赤になっていた。  さらには髭がぼうぼうで、ロングヘアーであった。  いかしたロックンロールのお爺さんかと思えるほどの見栄えだ。
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