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「マスターなら先代のマスターと修行してますよ」
「それはどこだ?」
「どこだろうか?」
そのプレイヤーが微笑みながら答えをはぶらかし立ち去った。まったく腹が立つ限りだ。ところでセイハツ老人とリリカットがどこにいったかというと、まったくむなしいほど当たり前なことであった。
リリカットが職業を選ぶのでセイハツ老人が付き添っていった。俺には付き人すらいなかったよ。花咲き爺さんといったらその場にいたハルスカットとヘイブンが爆笑していたのは腹がたったものだ。
なぜだ。どこが悪い花咲き爺さんのどこがわるい。
ちょうどすれ違ったハルスカットさんに尋ねることにした。
「あのう墓場ってどこですか?」
「墓場ですか? 空船でここより下に向かってください」
「つまり下にあるということですね?」
「そうですよまだ花咲き爺さんをやるつもりですか?」
「もちろん」
「あなたなら花咲き男でしょうに」
「まったくだ」
頷いてギルドから立ち去ると途方もないほどに混雑した人ごみを抜けていった。
人がギュウギュウで苦しくなるほどに、違和感があった。
違和感は途方もないほどに道端に沢山ある。
違和感の正体がなんなのかそれは知らない、だが分かることといえばなんとなくその違和感の正体がなんとなくつかめた。
そいつは赤い服装をしていた。
それまでならよかった。
そいつは―血のスズメ―であった。
真紅のローブがはためいている。彼の二本の刀がゆらりゆらりと動いている。
全身という毛穴から汗が噴出した。彼はただ人ごみを見つめて、人ごみの中に消えた。
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