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男の言うゲーム……要約すると、男の様なプレイヤーが自身の駒を使い殺し合いをさせるという簡単な内容だった。
ゲームの駒には、僕の様な身元不明の犯罪者、社会的に破滅した者、奇特な志願者等が集められていた。そんな連中が、ゲームのルールによって一対一、多対一、ウォーゲーム等といった殺し合いを演じる。
プレイヤーはその様を観て、賭け事や地位争いに利用するのだろう。その証拠に、ゲームに勝利すると何でも願いが叶った。
僕は勝ち続けた。何故か僕は一対一ならば、負ける事が無かった。理由はよく解らないが、僕の相手は対峙した瞬間に一拍程の隙がある者ばかりだった。
その隙に、ナイフを突きつけるなり、銃弾を撃ち込むなりすれば簡単に勝利出来た。そして、僕は報酬を手に入れ続けた。
最初は騙されて連れてこられたが、結果的に以前より楽な生活が出来ていた。騙し騙され、嘘をつき合い、殺し合う。そして、雀の涙程の報酬を得ていた頃に比べれば、やる事は変わらないのに報酬が桁違いだった。
そんなある日、プレイヤーである主が互いの全てを賭けたゲームを他のプレイヤーと行うと告げてきた。
全てを得るか、全てを失うかのフルベット。正直、正気の沙汰ではない。この時に僕はようやく理解したんだ。僕等の主も、人間を辞めた狂人だという事を。
今回はいつもの殺し合いとは違う。二人のプレイヤーの駒が全て参加する、擬似戦争。相手側もこちら側にも、プロの傭兵がいる。
いつもの雑魚とは違い、一瞬の隙も無く銃弾を撃ち込んでくる。こうして初めてプロを相手にした事で、今まで何故自分が勝ち続けてこれたかが理解出来た。
雑魚には躊躇いがあるが、プロには躊躇いが無い。僕が雑魚相手に優位に立てたのは、躊躇いの隙に殺していたからだ。僕と同様、躊躇いの無いプロ相手では通用しない。
そうなれば、後は単純な技術の問題になる。当然、僕程度ではプロの足元にも及ばない。
弾倉の交換を終え、相手側の銃撃が途絶えるのを静かに待つ。完全に途絶える訳ではないが、強弱の波がある。弱くなった所で、塹壕から出て反撃に転ずる。
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