偽・清純派女優

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偽・清純派女優

============== ========== ======= 「愛してる、春奈」 超がつく程、高級な会員制のフレンチレストラン 「結婚しよう」 ガラス張りの窓の外には、宝石を散りばめたような夜景 豪華で繊細なお料理を嗜んだ後、大粒のダイヤの指輪が差し出された そして目の前には、大企業の御曹司 頭良し、財産良し、顔好みではないけど(笑) 特上物件男からの、女性なら誰もが憧れるであろうプロポーズ 「生涯、キミだけを愛すと誓う。必ず幸せにする」 御曹司から、真剣な眼差しで紡ぎ出される言葉の数々 泣くのを堪えるように、唇を小刻みに震わせる春奈が 「ぷはっ!」 いきなり噴き出した  「は、春奈?」 予想外の反応に、驚き顔の御曹司 「あはははっ!」 「一体・・どうしたんだ、何がおかしい?」  大笑いをし出した春奈に、御曹司は顔真っ赤 「だって、あまりにも簡単なんだもの」 「・・・え?」 「愛って、なに?教えてよ」 「・・春奈」 「ゲーム・オーバー。」 「何を・・言ってるんだ?」 「もうちょっと長く遊べると思ったのに、あまりに呆気なくて萎えたわ」 財布から3万円、テーブルの上に置きながら立ち上がる 「さようなら」 御曹司に背を向けて高級レストランを後にする   外は、どしゃ振りの雨 ホテルを出て、雨に濡れながら歩く ふと、足を止めて、空を見上げた  「ひっどい、女・・」 空笑いしながら、小さくつぶやく 頬を伝う涙は 誰にも知られることなく 雨と共に流されていく・・・ ========== ============== ==================
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